FT 20bbのOpenレンジ|ICM下ポジション別完全ガイド【Ajo MTT解説 vol.4】
1,000人MTTのファイナルテーブル、残り9人・全員20bb・プライズ傾斜10倍という ICMが最もきつくなるスポットでのポジション別Openレンジを、GTO Wizardソリューションをもとに徹底解説。UTG / LJ / HJ / CO / BTN / SBの戦略と、ICM下で価値が変わるハンドの傾向。AjoのMTT戦略シリーズ第4回。
文責:Ajo(X:@AjoPoker)
シリーズ第4回のテーマは ファイナルテーブル(FT)でのOpenレンジ です。
今回扱う想定は、1,000人参加トーナメントのFT・残り9人・全員20bb、そしてプライズ傾斜が 9位と1位で10倍 ある状況。ICMの影響が最大級にかかる 典型的なスポットです。
FTには頻繁に行ける場所ではないからこそ、行ったときに 落ち着いて戦える 準備をしておきましょう。
📌 この記事の前提
- 状況: 1,000人MTTのFT・残り9人・全員 20bb
- プライズ傾斜: 9位 vs 1位で10倍
- ソリューション: GTO Wizard ICM
- 取り上げるポジション: UTG / UTG+1 / UTG+2 / LJ / HJ / CO / BTN / SB(合計8ポジション)
プライズ傾斜(賞金構造)
賞金が 9位から1位にかけて急激に上がる 構造のため、上位入賞のために チップを失うリスクが重く評価 されます。これが ICM 圧力の正体です。
1. UTG / UTG+1 / UTG+2 のOpenレンジ
UTGはレンジ全体の 14.5% でOpenします。
採用されるハンド
- Axs はピュアでOpen
- A4o / A5o / A7o〜A9o も低頻度ながらOpen頻度が存在
- 66〜99 のポケットペアも頻度でOpen
採用されないハンド
- JTs / T9s のような強スーテッドコネクターは ピュアフォールド
- ポストフロップでのプレイアビリティやボードカバレッジは そこまで評価されない
📍 ICM下のハンド評価の特徴
- Aのブロッカー の価値が 高い(相手の強いレンジを物理的に減らせる)
- ポケットペア の価値は 低い(ICM下ではAll-in equityでの計算が厳しく、ヘッズアップしか勝ちにくい)
- スーテッドコネクターの ポストフロップ価値も低下(チップを失うリスクを取りにくい)
2. LJ / HJ のOpenレンジ
LJ・HJに来ると、Open頻度がじわじわ上がります。
主な変化
- AxoのOpen頻度がさらに増加
- A5o / A8o / A9o はほぼピュアでOpen
- 99 はピュアOpenに格上げ
- 66〜88 は変わらず頻度でOpen
UTGの「Aブロッカー重視」の傾向はここでも一貫していて、スーテッドコネクターは依然として控えめのまま。Axが先に伸びる構造です。
3. CO のOpenレンジ
COで初めて 20bbオールイン(プリフロップジャム)レンジ が出現します。
オールインに混ざるハンド
- 中頻度: A2s〜A5s、KJs、KQs、AQo
- 低頻度: 55〜88
通常Open(刻みOpen)するハンド
- A4o+ はピュアOpen
- A3o はID(混合)
- 22〜44 のスモールペアは ピュアフォールド
22〜44がフォールドになる点は要注目。ICM下では「セットマイニング目的のスモールペア」が 割に合わない(実現できる回数が減るため)と評価されています。
4. BTN のOpenレンジ
BTNはレンジ全体の 8.4% でオールインします。
オールインするハンド(中程度の強さが中心)
- 22〜55 のスモールペア → ピュアでオールイン
- A2s〜A9s / K9s〜KQs / JTs / QTs / QJs / 88
- AJo / AQo
- 低頻度: A2o〜A5o
刻んだOpenのハンドは別レンジになりますが、「中程度の強さのハンド」をジャムに振る のがBTNの特徴。先に動くことで相手のコールレンジを強ハンドに絞れる、ICM下で有利な構造を作れる、というのが理由です。
5. SB のOpenレンジ
SBはレンジ全体の 31.3% という非常に高い頻度でオールインします。
採用されるハンド(広い)
- スモールペア や Axo はもちろん
- Kxo / Qxo / Txs など かなり広いレンジ がジャム対象
刻んだOpenのサイズ
- 3BB で開ける
このスポットの非対称性
これだけ広くオールインしても、BBがチップEV戦略でコールしてくると話が変わります。ICM下ではBBは「自分が敗退してしまう」リスクを重く見るため、コールレンジは 77+ / A7s+ クラスの強ハンドに絞られます。
⚠️ 相手次第で広いジャムが損になることも
ICMを意識せず チップEVに近いレンジでコール してくるBBプレーヤーが相手の場合、SBの広いオールインは バリューを失う行為 になります。相手の傾向(特にBBがICMを理解しているか)を観察してジャム頻度を調整しましょう。
まとめ
ICM下のFT 20bb Openレンジには、2つの本質があります。
1. ハンド評価がICMで歪む
- Aブロッカー が最重要 → Axでは広くOpen
- ポケットペアやスーテッドコネクター は 狭くOpen
- 理由: ICM下では「セットマイニング」「ポストフロップでチップを伸ばす」価値が減り、プリフロップで強いブロッカー を持つ意義が増す
2. 「先にオールインする」優位性
- 先にオールインすれば、相手は 強ハンドでしかコールできない(ICMで降りる方が安全になるため)
- → BTN / SB のような後ろのポジション からは、中程度の強さのハンド を広くジャムできる
- 特にSBの31.3%オールインは、この「先手の優位」を最大限活用したレンジ
📍 実戦のポイント
- アーリーポジションでは Aブロッカーを持っているか を最優先で確認
- BTN / SB では「相手がきちんとICMを理解しているか」で判断を変える
- BBのプレーヤーが チップEV的に広くコール してくる相手なら、SBの広いジャムは控える
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