Ten-Fourはスタッツが9割【月刊コナショー vol.4】
VPIP・PFR・3ベット率の3つだけで相手のリークはどこまで読めるのか。ルースコーラー、タイトな黒字、タイトな大赤字、まともなのに負けている人など6ケースのスタッツを、シースタの有識者3人と一緒に読み解きます。
文責:konasho(X:@konasho)
問題です。
あなたは高校バスケ部の監督で、見事インターハイ出場を決めました。初戦の対戦相手のデータを調べると、リバウンド力に優れる赤毛の1年生の成績が7試合で17得点、その内訳が
- フリースロー 3点
- レイアップ 6点
- ゴール下 4点
- ダンク 4点
であることがわかりました。このプレイヤーはどんな弱点を抱えていると予想できますか?
答え
🎯 極めてゴールから近い位置からしかシュートできない
この相手に対してはゴールから離れた位置でのシュートはフリーで打たせ、その分得点力の高い11番のマークをきつくするというディフェンスが合理的となります。
成績から相手の弱点を見抜き対策する、それはポーカーでも同じ。もし相手のスタッツを見た瞬間にリークが想定できればウィンレートの向上が見込めるはず。
「どうだね。ワクワクしてこないかね」
Ten-Fourの特徴的なスタッツを見たときにどんなことを考えるのか。3人の有識者に聞きました。
- シースタのドン、arashiさん
- 安定感の権化、ノガードさん
- 俊足強肩の持ち主で皇子山の覇者、粗茶さん
ケース1:参加率3割4分。打率なら首位打者確定のフロップ見たいマン
かなりのルースコーラー。強いハンドはスリーベットするけどポケット、スーコネのみならずハイローもコールレンジに大量にある。ワイドCBでトラッシュ落としてから相手の反応やボード次第で考える、を基本戦略として問題ない。もちろんバリューは分厚く打ちたい。
AQのように強いハイカードはCBスキップも有力な選択肢になり得る。むしろスキップしたい。ターンやリバーでヒットした場合、相手にはキッカー負けハンドが多くバリューが増えるからだ。
困るのはチェックしたあとで相手からベットされたときだ。AQは降りるかブラフキャッチかの難しい選択が迫られる。エアに降ろされることもエクイティ誤認した水没ベットに献上してしまうこともあるがそれはある程度仕方がない。この相手にはバリューのEV、特にシンバリューのEVが伸びている。
「相手のバランスが取れてないときに、自ハンド全てのEV上がるわけではなくて特定のハンドが上がり、特定のハンドは下がる。結果としてレンジ全体のEVは上がる」(粗茶)
ケース2:タイトな黒字。強固なレンジをどう攻める?
BBがこの人ならスチールチャンス。オープンレンジを広げよう。スリーベットを返されたらポケットやスーコネはほぼ降りていい。ただしフォーベットに対してはオーバーフォールドを取れる可能性がある。例えば均衡でSBはBTNからのフォーベットにミドルポケットでもオールインを返す頻度があるがピュアフォールドになりがち。強レンジを警戒しつつも狙ってみる価値はある。
ポストフロップも指針は変わらない。基本はオーバーフォールド気味に対応する。相手は強いハンドを持っていることが多いからダブルバレル、トリプルバレルにはトップヒットでも安易にコールできない。自分がレイザーのときも降ろせるハンドが少ないから無茶なブラフは厳禁。
この人はハンドの強さでポットを獲得しているだけ。ウィンレートがプラスでもスキルレベルが高いとは限らない。スチールで削り、オーバーフォールドでチップを守ろう。
ケース3:タイトなのに大赤字。攻めるべきポイントは?
この人もプリフロップレンジは固いから基本的な考え方はケース2と同じ。積極的にスチールを狙いたい。
さらにポストフロップはビッグポット獲得のチャンスだ。この人はおそらく強いハンドを降りられない。ツーペア+のハンドを作れたときはAAやKKから最大限のチップを頂こう。この人もブラフじゃなくてバリューで稼ぐ相手だ。
ケース4:スタッツはまとも。でもこれだけ負けてるってことはつけ入る隙があるはずだ
プリフロップレンジはある程度覚えたけどポストフロップの均衡は知らない可能性が高い。Ten-Four環境ではタフコールとオーバーブラフが特にマイナスになりやすく、この人はそのどちらか、あるいはその両方のリークを抱えていると予想される。
スリーベット率がやや低いことからタフコーラーであることが濃厚。ワンストリートブラフが有効なのはトラッシュを降ろすときだけ。バリューのベットサイズは上げ、チェックかベットかIDハンドはベットに寄せて対応したい。
📝 IDハンドとは:インディファレント(indifferent)なハンドのこと。均衡上チェックとベットのEVが等しく、どちらを選んでも損得が変わらないため混合戦略になるハンドを指します。詳しくは AKQゲーム の「純粋戦略と混合戦略、インディファレントの意味」で解説しています。
ケース5:アグレッションの高さ=ポーカーの上手さと思ってるならその代償を払ってもらう
広くスリーベットしているのにスリーベットポットが上手くない。アーリーオープンに対してもAToやKJo辺りでスリーベットしないと15%という高い値にはならない。
ポストフロップでも高いアグレッションが予想される。もちろんボードは選ぶがブラフが止まらないのだからオーバーペアはあるにせよポケットやヒット系でコールボタンに手を伸ばそう。
ケース6:フォールドボタンの壊れた相手にお仕置きを
「レッツゴー、レッツゴー、レッツゴー金本〜チャンスだ、振り抜け、かっとばせ〜♪」
阪神が押せ押せムードの場面で甲子園に鳴り響くヒッティングテーマ「チャンス襲来」のメロディが頭の中に流れる。この相手のBTNオープンにSBでTTを持っているときは遠慮なくスリーベットジャムしよう。自分がスリーベットを広げていると察知する相手が後ろに控えているなら慎重になる必要もあるがレイトポジションならやりやすい。
ポストフロップではマージナルハンドのバリューが伸びる相手だから自ハンドのエクイティに応じてシンバリューを狙いたい。コーラーのときはKハイボードでトリプルバレルを打たれてもそこそこのハンド以上でこちらもフォールドボタンを壊そう。プリフロップで参加し過ぎたトラッシュを全部ブラフしないとこのウィンレートにならない。Kローのラッキーツーペアはあるにせよガットやエアで突っ込んでいる割合が多すぎる。マージナルハンドでコールボタンを連打すれば勝つことの方が多いはずだ。
バリューハンド持ってるときのテクニック。相手のCBにミニマムレイズを返そう。この手のタイプは簡単に降りないし、それどころかわけわからんハンドでリレイズを打ち返してくる。しっかりお仕置きしよう。
まとめ
6ケース見てきましたが、やっていることはどれも同じです。スタッツから相手のリークを想定し、それに合わせて自分の戦略を変える。 これだけ。
同じ「タイト」でも黒字のケース2と大赤字のケース3では狙う場所が違いました。スタッツが似ていても収支が違うなら、違いを生んでいるリークが必ずどこかにあります。VPIP・PFR・3ベットの3つと収支を並べて眺めるだけで、そこまで想像できるようになります。
ゴールから離れた位置ではシュートを打たせる。あの1年生への守り方と、やっていることは変わりません。
各スタッツの意味や適正値をあらためて確認したい方はコチラ。
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