ポーカーのオールインEV・赤線・青線とは|収支グラフの読み方完全ガイド
T4(てんふぉ〜)の収支グラフで見るオールインEV・赤線・青線の意味を整理。実収支との乖離で運を読み、赤線・青線で自分のスキル構造を読み解く方法まで解説します。
この記事で分かること
最近 X(旧Twitter)で、T4(てんふぉ〜)の収支グラフを貼って 「AllinEVで運の良さがわかるの?」「赤線・青線ってなに?」 と聞く投稿をよく見かけます。
本記事ではこの疑問に答える形で、以下を整理します。
- オールインEVとは何を計算している指標なのか
- 実収支との乖離から 運の良し悪し をどう読むか
- 赤線(非ショーダウン収支) の意味
- 青線(ショーダウン収支) の意味
グラフの読み方と意味を説明していきます。
📝 前提: EVの概念を先に理解しておくと本記事はスムーズです。未習の方は ポーカーの期待値(EV)とは? を先にどうぞ。
実収支グラフとは
実収支グラフは、縦軸=累計収支(bb)、横軸=ハンド数で、プレイを重ねるごとに上下する折れ線です。
T4(てんふぉ〜)はトラッカーではなくポーカーアプリで、そのアプリ内に収支グラフ機能が搭載されています。T4の画面では常に次の4本が重ねて表示されます。
- 緑の線:実収支(実際に勝ち負けした累計額)
- オレンジの線:オールインEV(後述)
- 赤線:非ショーダウン収支(後述)
- 青線:ショーダウン収支(後述)
本記事ではこの4本すべての意味を順に読み解いていきます。
ポーカーのオールインEV(AllinEV)とは
オールインEVとは、「オールインコールが成立した時点で、両者のハンドのエクイティ通りにポットを分配していたらどうなっていたか」を積み上げた仮想収支です。T4ではオレンジの線で描画されます。
計算はシンプルです。
- オールインコール成立時点で、両者のハンドは公開された状態になる
- エクイティ計算エンジンが「あなた X%/相手 Y%」のエクイティを算出する
- 実際の結果ではなく、「ポット × エクイティ」 を各プレイヤーの取り分として記録する
- その仮想取り分を累積した線が オールインEVライン(オレンジ) になる
例えば、A♥A♠ が K♥K♣ に100bbスタックでプリフロップオールインした場合、ポットは200bb、AAのエクイティは約82%です。
このときオールインEV上の配分は次のようになります。
- AA側:200bb × 82% = 164bb を受け取った扱い。投入した100bbとの差額は +64bb で、EV線(オレンジ)は上昇
- KK側:200bb × 18% = 36bb しか受け取れない扱い。投入した100bbとの差額は −64bb で、EV線は下降
実戦でターンに K♠ が落ちてKKが勝った場合、実収支線(緑)はKK側が +100bb/AA側が −100bb に動きます。つまりAA側は「EV上は+64bbだったのに実収支は−100bb」、緑がオレンジより164bb分だけ下に引き離されます(=ランビロー)。
一方、もしフロップで K♥ が落ちた後にターンでオールインになった場合、KKのエクイティは9割以上に跳ね上がります。このとき仮にKKが勝てば、KKは勝つべくして勝っているのですが、オールインEV上では「ポット×90%以上」が既にKK側に配分済みなので、実収支(緑)はオレンジから**ポットの約10%分(=20bb程度)**しか上に動きません。勝つべくして勝つ=緑とオレンジの乖離は小さい、というのがEVの読み方です。
ポーカーの運と実収支グラフ:オールインEVとの乖離
ルールはシンプルです。
- 勝てば緑が上に動く(そのハンドは運が良かった)
- 負ければオレンジが上に動く(そのハンドは運が悪かった)
エクイティは運の方向には関係せず、**動いた幅(bb)**だけを決めます。100bbスタック同士(ポット200bb)のオールインなら:
- エクイティ80%で勝ち → 緑が +40bb 上(ちょっとラッキー)
- エクイティ20%で勝ち → 緑が +160bb 上(かなりラッキー)
- エクイティ80%で負け → 緑が −160bb 下(かなりアンラッキー)
- エクイティ20%で負け → 緑が −40bb 下(ちょっとアンラッキー)
累積グラフは1ハンドごとの運(±の幅)を足し合わせたものです。
| 線の累積位置 | 呼び方 | 解釈 |
|---|---|---|
| 緑が上、オレンジが下 | ランアバーブ(Run Above) | 累積で運が良い方向に振れている |
| オレンジが上、緑が下 | ランビロー(Run Below) | 累積で運が悪い方向に振れている |
| 緑とオレンジがほぼ重なる | ニュートラル | 運のプラスとマイナスが相殺されている |
ただし、短期のグラフの形だけで運を語るのは危険で、数万ハンド程度では偶然の揺らぎが大きく残ります。
オールインEVに映らない運もある
ここで覚えておきたいのが、オールインEVが拾えるのは「エクイティが残っている状態でのオールインコール」だけ、という点です。それ以外の場面で降ってきた運は、オレンジと緑の乖離には一切現れません。
典型例:フロップ・ターンは通常 bet/call で進行し、リバーで相手のストレートが完成した後にトップセットでオールインコールしたケース。オールイン成立時点(=リバー)ではこちらのエクイティは0%。エクイティ通りに配分しても「負けるべくして負けた」扱いで、オールインEV上の乖離は出ません。
💡 Tips:「緑とオレンジがほぼ重なっている=実力通りに結果が出ている」ではありません。ランビローしていなくても不運は起きていますし、ランアバーブしていなくても幸運だった可能性はあります。オールインEVは「運の一部」を切り取った指標と割り切りましょう。
赤線・青線は別概念
赤線・青線は実収支・オールインEVと同じグラフ上に表示されますが、ここまで説明した 実収支 vs オールインEV と、これから説明する 赤線・青線 は、まったく別の概念です。
- 実収支 vs オールインEV = 運の可視化
- 赤線・青線 = スキルの種類の分解(ショーダウン収支と非ショーダウン収支を切り分ける)
混同しないよう、頭の中で引き出しを分けてください。
青線・赤線と実収支の関係
青線は、ショーダウンまで到達したハンドでの純収支を累計した線です(ショーダウン収支 / Showdown Winnings、略して SD Won)。見せあって決着したハンドだけがここに計上されます。
- ショーダウンで勝つと青線は上がる
- ショーダウンで負けると青線は下がる
赤線は、ショーダウン前に決着したハンドでの純収支を累計した線です(非ショーダウン収支 / Non-Showdown Winnings、略して Non-SD Won)。誰かがフォールドして終わったハンドだけがここに入ります。
- 相手を降ろしてポットを獲得すると赤線は上がる
- 自分が降りてポットを逃すと赤線は下がる
そして、青線と赤線を足したものが実収支のグラフ(緑)になります。つまり実収支は、この2本の合計として分解できるわけです。
GTO通りのプレイを想定すると、青線は右肩上がり、赤線は右肩下がりになるのが一般的です。
ただし、フォールドが多く取れる環境(相手が降りすぎるプール)では、ブラフを通して赤線を水平〜右肩上がりにするプレイスタイルで実収支を伸ばすことも可能だと言われています。
理想の赤線推移。
自身のグラフを確認してみましょう
青線と赤線がどう動いているか、自分のグラフを見て確認してみましょう。以下に、それぞれを望ましい方向に動かすためのポイントを整理します。
青線を右肩上がりにする方法
- しっかり降りる:負けているハンドで無駄にコールせず、適切にフォールドする
- value を取り切る:バリューの下限を適切に下げ、薄いハンドでもベットしてコールを引き出す
- ブラフをキャッチする:相手のブラフに正しくコールし、ショーダウンでポットを取る
赤線を上にあげる方法
- ベット頻度を上げる:バリューの下限を下げ、ブラフも含めて積極的にベット/レイズして相手にフォールドさせる機会を増やす
- 降りすぎない:相手のアグレッションに対して適切にコールし、投入したチップを逃さない
まとめ
収支グラフは次の2軸で読めます。
- 実収支(緑) vs オールインEV(オレンジ) = 運の可視化(ただし「エクイティが残っている状態でのオールインコール」だけ)
- 青線(ショーダウン収支) + 赤線(非ショーダウン収支) = 実収支の内訳。GTO想定なら青線↑・赤線↓が標準、プール次第で赤線を水平〜右肩上がりにするスタイルも成立する
そして読み違えないための要点は次の2つです。
- オールインEVと赤線・青線は まったく別の概念。運の話とスキルの話を混ぜない
- 緑とオレンジが並んでいても、オールインにならなかった局面の運までは拾えていない
グラフを正しく読めるようになると、負けていても冷静に原因を切り分けられ、勝っていても運に流されずに改善点を探せます。
スタッツを使って自分のプレイをさらに細かく診断したい方はこちらもどうぞ。
EV の概念そのものを復習したい方はこちら。
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